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2006年5月14日 (日)

鳥の横顔

ここのところ、朝は hirondelles ツバメたち の声が目覚ましになっています。「ルトゥトゥ ルトゥトゥー、ケッケッー」、別の解釈をすると、「ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、ふーんふーん」と鳴いている気がするんだけれど、日本ではツバメはどのように鳴いていたかな。

「今年のツバメの飛来は去年より早いな」、「ここ数日はやけにおしゃべりが賑やかになってきたな」と思っていたら、ツバメの巣作りが始まったようです。朝、お風呂場の窓を開けると、2メートルくらい離れた家の後ろの塀の上に、つがいのツバメが並んで止まっていて、大きいオスのくちばしの間には、細い木の枝がしっかりと挟まれているのが見えました。台所の方の窓から、お風呂場の外壁を見ると、ツバメたちが巣の位置を決めて、土や小枝をそこにくっつけ始めたのがよく見えます。

このつがいは、去年もここにやってきたはずのツバメなので、とても愛着があります。去年は、5月の末に私がここに越してきたあとに、巣作りを始めていたので、やはり今年は少し早くフランスに戻ってきたことになります。去年は、この外壁の端っこの、白い石膏で補修された部分に巣作りをして、メスが卵を温め始めて数日後、巣が丸ごと一階の屋根の上に落ちてしまったのです。おそらくこの石膏部分の湿気の関係で、巣が剥がれてしまったのだろうと思われます。今年は、その石膏の部分の端の、本来の漆喰の壁の部分に巣を作り始めました。ツバメも学習するんだなと関心したんだけど、本当のところはどうなんだろう。

フランスのツバメは、冬はアフリカで過ごすと聞いて、その長い旅路をどんなふうに過ごしているのだろうと想像します。南仏の小さな映画館で、渡り鳥のドキュメンタリー映画、日本では 『WATARIDORI』と題が付けられていた『Le Peuple Migrateur 』を見たのは、2002年のこと。その映画の中で、鳥たちが空を飛んでいるときに見せる真剣な横顔に、とっても驚いてしまった。鳥たちにとって空を飛ぶことは、実際に命がけのことなのでまじめに飛ぶのは当然のことなんだけど、それまでに飛んでいる鳥の目の高さで鳥の横顔を見たことがなかったから、奇妙で、でもさわやかな驚きを覚えたのです。なんだか、その時からすでに渡り鳥たちに親しみを感じ始めていたのですが、今、 marais マレ や家の周りで、渡り鳥たちの様子を目にするとき、その真剣な横顔や、私たちに親しみを見せてくれてるような表情に出会うこともあり、そのときにはさわやかな驚きから、さわやかな幸せを le peuple migrateur 渡り鳥 に感じるようになりました。

今日のもうひとつの重要なできごととして、capitaine キャピテンヌ デビュー したことを書いておかずにはいられません。この地にやってきて約一年。今日、初めて barque 小船 運転に挑戦しました。船のキャプテン!と言っても、この小船は早く言えば、渡し舟のようなもので、運転するというのは、bourde ブルドゥ と呼ばれる一本の竿で舵を取ると言うことです。 竿が bourde ブルドゥ なので、このように舵を取ることを bourder ブルデ と言いますが、地域によって違う言い方がいろいろあるようです。要するに、今日は船頭修行の第一日目だったのです。

夕方からは、この bourder ブルデ の le premier leçon 第一回の授業で、フィリップ兄の島までの往復と、いつものようにラディッシュの間引き、にんじんの間引きも少しして、お隣のベトナム出身のチャングからもらった piment ピマン も植えました。ピマンは日本語だと唐辛子。水遣りをしたあと、また bourder ブルデ の練習で!小船のキャプテンとして、しっかり舟をこいで、quai  岸、船着場 まで戻りました。この岸は、Port aux echalotes エシャロット港 と呼ばれています。

夕食は、畑の間引きをしなくても、ちゃんと育つ間隔をもらえて、2センチくらいにまで大きくなったラディッシュで始まりました。相変わらず、ツバメがいろいろ「ぺちゃくちゃ」しながら巣作りを進めていて、今日は家の土台部分くらいができることになりそうです。今夜は、フィリップ兄の奥さんのナデット姉がくれた、彼らの島の今年最後のすずらんと今年最初の赤いバラと、サラダ用に摘んできた persils パセリ chiboulette シブレット も夕食風景の一部になりました。

ツバメの巣の完成と、私の bourder ブルデ の腕前上達とどっちが早いかな。自分で漕いでいる船から見る marais マレ の風景は、いつもと違って、「感動」したって言うのがいちばんふさわしいかもしれないな。頭の上を、カモが飛んで行ったりすると、『Le Peuple Migrateur 』の映像の中に入ってしまったみたい。でも、本当は逆で、現実を切り取ったのが映画なんだけれど。 とりあえず、なかなかうまく bourder ブルデ できた一日目のルッソンに乾杯しよう。

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